苫米地英人博士による『心の社会』の紹介文

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心の社会 [ マーヴィン・L.ミンスキー ]
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心の社会 ニューラル・ネットワークのように一つ一つのユニットは自分がどのような役割を担っているか、ほとんど自覚していないのに、それらが集まって反応することによって記号のように意味を表現することができるという準記号の情報処理を人間の脳が行っている様子について、ミンスキーは『The Society of Mind(邦題:心の社会)』という本を書いて、表現しています。非常に興味深いことが書かれていますので、ここで「心の社会」の冒頭の部分を少しだけ引用してみます。訳は、カーネギーメロン大学で客員教授を務められ、その後、慶応義塾大学の理工学部長、さらには慶応義塾で一番偉い(と思われる)慶応義塾長を努められた安西裕一郎さんです。

・・・・・この本では、こころがどのようにはたらくかを説明しよう。知能は、知能でないものからどのようにして現れてくるのだろうか。 この問いに答えるために、この本では、心がたくさんの小さな部分を組み合わせて作れることを示そうと思う。ただし、それぞれの部分には心がないものとしよう。このような考え方、つまり心がたくさんの小さなプロセスからできているという考え方を、《心の社会》と呼ぶことにする。

また、心を構成する小さなプロセス一つひとつを、エージェントと呼ぶことにする。心のエージェントたちは、一つひとつをとってみれば、心とか思考をまったく必要としないような簡単なことしかできない。それなのに、こうしたエージェントたちがある方法でいろいろな社会を構成すると、本当の知能にまで到達することができるのである。 この本には、とくに専門的で難しいことは何も書かれていない。この本で言いたいことと同じように、この本自体も、小さな考えをたくさん集めた社会の形になっている。この本の中のいろいろな考えは、それぞれをとってみると単なる常識程度のものにすぎない。それでも、こうした考えをいくつか集めると、心の不思議な謎を解き明かすことができるのである。

ただ問題なのは、こうした小さな考えを、はじめから終わりに向かってきれいに一直線で並べて説明することは、まずできない。心の階段を一段一段まっすぐ登っておけば頂上まで行きつくというふうに、考えを一直線に並べて説明できればいいのだが、実際にはそうはいかない。そこでこの本では、一つひとつ小さな説明が、互いに密接に関連しあってクモの巣のようになっている。そんな説明のしかたになってしまうのは、実際には、私がうまく順序立てて説明できないからなのかもしれない。

しかし私としては、そうなってしまうのは、どちらかといえば心の持つ性質そのもののせいだと思っている。心というものが持つ力は、心を構成するエージェントたちが互いに密接しあっていることそのものから生まれてくるように思われる。もしそうだとすれば、複雑になるのはしかたのないことである。なぜなら、進化の過程で不思議なできごとが無数に起こった結果、複雑になったのだ、としか考えようがないのだから。

このように、記述しようとしてもうまく記述できないことがらを記述するには、どんな方法をとればよいだろうか。ここでまず、ラフな形でもよいから、その後の展開の支えになるような形を描いてみることから始めよう。 その形が部分的に間違っていたとしても、たいした問題ではない。次に、その骨格に細かい筋肉づけをすることにしよう。そして最後に最終段階に至ったら、初めの考えのうちで合わなくなってしまったところを取り除くことにしよう。このような方法は、私たちが実際の生活の中でむずかしい問題を解こうとするときに用いるのと、同じ方法である。大きな機械の歯車一つひとつについても、あるいは粉々に壊れた花瓶についても同じことである。

つまり、全体を組み立ててみて始めて部分の意味がわかってくるのである。脳の神経細胞は一つ一つは心を持ってはいません。しかし、それらがたくさん集まって、ある特別な行動をすることで心が生まれているわけです。 人間はありとあらゆるデータをどうやって抽象化しているのかと聞いても、説明はできないのです。人間の脳の神経細胞、あるいはPDPモデルのようなニューラルネットのユニットの集まりを「心の社会」と呼んだのは、非常に秀脱です。

また、本全体の構成自体が、ニューラルネットのように、一つひとつの項目が密接に絡み合って、クモの巣のようになっていると言っています。もっとも、私の本も同じように非単調で書いているつもりですし、もっと言ってしまえば、それは一冊の本だけでなく、私の著作どうし、あるいは世の中のあらゆる本と密接に絡み合って、クモの巣のようになり、大きなゲシュタルトを形成していると言えるでしょう。読者のみなさんも、そこに気付いていただくと、本から得られる情報が一気に爆発的にふえるのではないかと思っています。 

※心を大事にするためには心の土台である精神のケア、具体的には精神を司る細胞のケアが重要です。新型コロナはBBB突破するそうなので、その前に免疫T細胞で撃破が吉。